【腰痛対策講座1】腰が痛い人はまず座り方を見直しましょう

時間の経過とともに違和感から痛みに変化して、私たちを苦しめる腰痛。

デスクワークや長距離移動など、長時間座り続けていると腰に耐え切れないほどの痛みが生じてしまうことがあります。

なぜ座り続けると腰が痛くなるのでしょうか。

どんな座り方をすれば腰が痛くならないのでしょうか。

なにかと座る機会が多い現代人の悩みを解消するために、正しい座り方を紹介します。

この記事の執筆協力者
有限会社ひまわり堂グループ 木村 千里先生

鍼灸師

執筆協力者紹介ページ
ホームページURL

意外!座る姿勢は腰への負担が大きい

人間の姿勢は立っているか、座っているか、そして寝ているかの3つが基本です。


では、この3つを楽な順番に並べると…?



多くの人は感覚的に「寝」「座」「立」とするのではないでしょうか。


寝たり、座ったりすると体重を支える面が増えるので、その点から考えるとこの並べ方は間違いではありません。


しかし、腰への負担という観点から見ると、この私たちの感覚は間違っているかもしれません。


 


それを示す有名なデータがあります。


腰痛の原因究明と治療に多大な功績を残した整形外科医ナッケムソンによると、座ったときと立ったときとで比べると、なんと座ったときの方が1.4倍も大きな力が腰にかかっているのです。


さらに座ったときに前傾姿勢になると、腰にかかる力は立ったときの1.9倍にまで跳ね上がってしまうというのです。



座る姿勢が腰に負担をかけてしまう理由は、背骨の形を見ればよくわかります。


人間は進化の過程で、4足歩行から2足歩行に移行し、手が自由に使えるようになった一方、上半身の全体重を足腰で支えなくてはいけなくなりました。


このとき、人間の背骨は大きく形を変え、腰の部分に腰椎前弯、いわゆる「S字カーブ」が形成されました。この湾曲が体重や衝撃を分散して、効率よく負担を受け止めています。



前傾姿勢や後傾姿勢でS字カーブのバランスが崩れたり、骨盤のずれが生じたりして湾曲がうまく機能しなくなると、腰に大きな負担がかかる原因になってしまうのです。


そして重要なのが、立っているときに比べ、座っているときはS字カーブが崩れやすいということ。


座っていると骨盤が前後左右にずれてしまうことが多く、姿勢が悪くなりやすいのです。


デスクワークや長時間移動などで長く座っていると腰が痛くなりやすいのはそのためです。


世界の中で見ても座っている時間が長いといわれている日本人。


腰痛対策は、まず座り方を見直すところ始める必要があるといえるでしょう。


 


ここで今一度、あなたの座姿勢を確認してみましょう。


次のような姿勢になっていませんか?



上記のような座り方は、体重を支えるためのバランスか崩れて腰の負担が大きくなりがち。


とくに頭が背筋の前に出てしまうと、背中や腰の筋肉が張り詰めて、どんどん疲労がたまっていってしまうんです。


腰痛になりにくい理想の座り方とは?

腰痛になりにくい座り方とは、どのようなものなのでしょうか?


腰痛への対策として、骨盤を立てて座るといいらしいという話をよく耳にします。


でも、これだけでは良くわからず実践するのは難しいかもしれませんね。


骨盤の角度はイメージがしづらく、大げさに骨盤を立てようとしてかえって反り腰になってしまうことがあります。


では、どうすれば正しく座ることができるのでしょうか?


 


腰大全では、正しい座り方を身に着けるためのポイントを詳しくご紹介します!


まず、座り方の『型』として確認するべきポイントは全部で5点。


ここまでガッチリ固めて、腰痛になりにくい座り方をマスターしましょう。



慣れるまでは違和感があり、正しい姿勢を維持することが大変かもしれません。特別な道具や運動は何も必要ありません。


しかし、完璧にマスターできたとき、背もたれに体重を預けるよりずっと楽に座り続けることが出来るということに気が付くはずです。


 


1.足は直角に曲げる


まず大切なのが椅子の高さ。


理想の高さは、腰かけたときに膝が直角に曲がり、かかとが地面としっかり接する程度です。


左右の膝はこぶし二つ分開いて、足の力を抜いてリラックスしましょう。


 


2.座骨を探す


足の位置が固まったら、次は座骨を探します。


一度腰を浮かし、お尻の下に両手を敷いてみましょう。


左右のお尻の中心に、大きな骨の出っ張りがあることがわかりますか?


これが座骨。


そのままゆっくり両手を抜いて、この座骨に上半身の体重を真上からかけます。


この状態がいわゆる「骨盤を立てる」座り方なのです。


 


3.全身の力を抜く


体に力が入ると背中の筋肉に力が入り、体重が後ろに流れやすくなります。


ここで入念に、もう一度全身の力を抜きましょう。


肩をググッと持ち上げて、ストンを落として脱力しましょう。


座っている最中は、常に脱力していることが肝心です。


 


4.丹田を意識する


脱力後は丹田に意識を集中させてみましょう。


丹田とはおへその下にある部分。


東洋医学では力の源とされているところです。


ただ、いきなり丹田に力を籠めろと言われても、まったくイメージがわかないものですね。


腹筋の特に下の方に力を入れ、お尻の穴をキュッと引き締めるといいでしょう。


お腹の底の部分がうまく使えるようになると、体重がしっかり骨盤に乗るだけではなく、呼吸が深くなって全身の脱力が促されます。


 


5.呼吸を深くする


4に続いて呼吸を意識しましょう。


呼吸が浅い傾向が強いと、全身の緊張を引き起こしやすく、疲れがたまり様々な不定愁訴を引き起こす原因になります。


深く、ゆっくりとした呼吸をすることで、体をリラックスさせることが出来ます。


8秒間口から息を吐いて、4秒間鼻から息を吸うという呼吸法を試して見ましょう。


遠くの火を吹き消すように、細く吐き続けることが、長く安定したブレスを実現するコツ。


ときには丹田に手を当てて、安定した呼吸を目指しましょう。


【腰痛対策番外編】クッションで腰をサポート

既に腰が痛い、腹筋が弱くてなかなか正しい座り方が身につかない…、


とお悩みの方はタオルやブランケットをサポートに使うといいでしょう。


厚みのあるタオルやブランケットを2つ折りにして、縦長にくるくるとまき、背骨に沿って背もたれと背中の間に挟みましょう。


お尻が背もたれに触れるように深く座れば、タオルが正しい座り方の形を支えてくれます。



また、腰痛対策上大切になるのが呼吸。


座っているときだけではなく、立っているとき、歩いているとき、寝る前などいつでも深い呼吸を心掛けることで全身の余計な力が抜け、疲れにくく痛みに悩みにくい体に近づけることが出来ます。


とくに夜中なかなか寝付けないという人は、呼吸が浅くなっている可能性大。


お腹に手を当て、心を落ち着けながら、深い呼吸を試してみてください。


 


そして、腰痛対策の中で最も大切なのが、同じ姿勢をとり続けないということです。


あなたの周りを見回したとき、姿勢が悪いにもかかわらず全く腰痛で困っているそぶりを見せない人がいることに気が付くのではないでしょうか。


さらに良く見ると、そういう人はじっと座っているわけではなく、立ち上がる回数が多かったり、座りなおしたり伸びをする回数が多いのではないでしょうか。


いくら正しい座り方をしていても、腰への負担をゼロにできるわけではありません。


正しい座り方を意識しすぎるあまり、1時間2時間と身動き一つ取らなければ、それもまた腰痛を引き起こす原因になります。


少なくとも30分に一度は立ち上がるか、座りなおして体を伸ばすように心がけましょう。


動く機会が多ければ、多少姿勢が悪くとも、腰痛を感じる機会は大きく減るはずです。



ついでに知っておきたい「椅子からの立ち上がり方」


あわせて椅子からの立ち上がり方のポイントを簡単にご紹介しましょう。


立ち上がるときに腰を曲げると負担がかかり、ぎっくり腰や腰痛を招いてしまうことも。


安全に立ち上がるためには、腰をまっすぐに保ったまま、脚の力を使って体を起こすのがポイントです。


 


まず、椅子の縁までお尻をずらし、浅く腰掛けるようにして、脚を椅子の近くに引き寄せましょう。


そのまま膝を伸ばして上半身をまっすぐあげるようにすると、腰を曲げずに、脚の力を使って立ち上がることができます。


足を椅子に近づけ、体の真下にもってくることで小さな力で立ち上がれます。


腰を曲げないように、膝に手を突かないようにしましょう。


また、膝は肩幅程度に開くと、より安定して立ち上がりやすくなります。


 


紹介した正しい座り方が、多くの人の腰痛対策に役立つことを願っています。


次回の対策講座では腰痛を予防する立ち方・寝方について解説します。


あらゆるシーンの姿勢を正して腰痛を克服しましょう。


関連記事

なぜ慢性的な腰痛に?交通事故の後遺症

2017.10.23

交通事故の後、骨折やヘルニアなどのケガはしていないにもかかわらず、つらい腰痛が後遺症として残ってしまうということがしばしば見られます。また、このような急性期のケガが治った後でも痛みがなかなかとれずに苦しみが続いてしまうこともあります。その原因はいったいなんなのでしょうか?原因不明の腰痛の真相として考...

【骨粗しょう症】ただの腰痛かと思ったら…。いつのまにか骨折に気を付けて

2017.05.18

[caption id=attachment_100 align=alignnone width=640] 背骨の椎骨が気づかないうちに押しつぶされてしまうのが、背骨の「いつのまにか骨折」。[/caption]転倒や衝突といった具体的なエピソードがないのに骨が折れていたり、つぶれていたりする……。そ...

なぜ起こる?天気とともに悪化する腰痛「気象病」

2017.05.30

雨が降る数日前から頭や腰、古傷がズキズキと痛みだす。季節の変わり目に多いこうした症状を総称して「気象病」といいます。天気と健康の関連性への注目度は年々高まり、中には柔道整復師の資格を取得した気象予報士もいるとか。(参照:気象予報士応援ナビ)「気象病」への理解は、日本よりもむしろドイツやアメリカで早く...

カテゴリーから記事を選ぶ