腰痛治療に保険を適用したい場合、どこに行けば良いのか?

腰痛の苦しみを緩和しようと思ったら、あなたはどこに行きますか?

整体院やリラクゼーションサロン、整骨院など、腰痛への施術をアピールするところは非常にたくさんあります。

また、病院でも腰痛への治療は行われていて、最近ではペインクリニックや心療内科の腰痛治療が最新治療法としてテレビの特集をにぎわせたりすることも。

自分の体のことだから、できることなら自分に一番合った治療法を選びたいと考える人が最も多いことでしょう。

一方で、治療といえどもタダとはいきません。

腰痛への治療法を選ぶとき、健康保険が適用されるのかどうかはけっこう大事な要件だという人の意見も頷けます。

ここで一度、治療の自己負担を大幅に減らせる【健康保険】という仕組みから腰痛治療をおさらいしてみましょう。

実は、腰痛症に対する健康保険の線引きは、複雑で間違いやすい制度になっています。

大切なお金の絡んだお話です。

トラブルに巻き込まれないように、事前にきっちり確認しておきましょう。

整体・リラクゼーション・カイロプラクティックは保険対象外

最近では、「肩こりや腰痛はお任せください!」といった広告を掲げている整体やリラクゼーションのお店が駅前などに増えています。


なにかとギスギスしたこの世の中。


「癒しブーム」に乗って整体院やリラクゼーションサロンの数は急増中。


いまやコンビニよりも多いといわれているほどなのです。


 


気軽に入ることができ、どちらかというと“癒し”を提供してくれるこうした店舗では、ご承知の方も多いと思いますが健康保険が適用できません。


整体師やセラピストは国家資格がなくても開業できるため、厚生労働省はこれを医療行為だと認めていません。


(もちろん信頼を勝ち得るためには確かな技量が必要ですが……)


そのため整体院やリラクゼーションサロンでは、健康保険は一切使うことができません。


 


同じく店舗数が増加してきたカイロプラクティックはどうでしょう?


カイロプラクティックはアメリカ発祥の整体法で、本場であるアメリカではD.C.(ドクターオブカイロプラクティック)という国家資格まであります。


すでに40以上の国で法制化されている(※)カイロプラクティックですが、日本ではあくまで整体の一種だとされていて、国家資格は設定されていません。


そのため、たとえ施術者が本場アメリカのD.C.の資格を持っていたとしても、日本では健康保険の対象にならないので注意しましょう。


 


また、整体やリラクゼーションは医療行為ではないので、医師のように病気を診断したり、医師によって診断された病気に対して独自の治療をしたりすることはできません。


もちろん、ある疾患に対して整体やカイロの効果があったという人もいるでしょう。


しかし、施術を受ける際はあくまでも「自己責任」でということになります。



(※参照:日本カイロプラクターズ協会


整骨院で健康保険が使えるのは「打撲」と「ねんざ」です

少し仕組みが複雑になるのが整骨院(接骨院)です。


整骨院は柔道整復師という国家資格を取得しなければ開業することができないという点において、上で説明した整体院とは大きく異なっています。


柔道整復師になるためには、学校で何年かかけて勉強しなければいけないため、一般的にみて整体師やセラピストよりも人体の専門的な知識を知っていると考えても良いでしょう。


ここで、整形外科医が西洋医学を学んでいるのに対して、柔道整復師は東洋医学を学んでいると勘違いしている人がいますが、実際には整形外科医にも東洋医学的見地が必要で、柔道整復師にも西洋医学的な解剖学の知識が必要なので、この二つを西洋と東洋というくくりで分けて考えるのは間違いです。


 


さて、このような法整備が行われている整骨院で行われている施術は、厚生労働省では医療類似行為だとされています。


そして、いくつかのケガに対しては、保険診療をすることができます。


 


保険が適用できるケガとは、


ねんざ・打撲・挫傷(肉離れ)


の急性や亜急性の症状についてです。


また、骨折脱臼は、緊急の場合や医師の判断があった場合に保険診療をすることができます。


 


さて、腰痛はどうなるのでしょうか?


実は、日常生活の中で起こったような慢性的な腰痛や、古くからずっと痛みが続いているような腰痛には健康保険が使えません。


これは、捻挫でも打撲でも肉離れでもないからです。


また、原因不明の痛みにも保険が使えません。


健康保険対象外のケガであるにも関わらず、健康保険を使って施術を受けたことが発覚した場合には、後から保険適用分の金額も請求されることになるので注意してください。



一方、ぎっくり腰のような急性腰痛や原因がはっきりしている外傷性の腰痛の場合には、腰のねんざや肉離れとして保険診療ができる場合があるかもしれません。


しかし、整骨院ではレントゲン写真を撮ったり、エコー検査をしたりすることができないので、ぎっくり腰がどのようなケガによって引き起こされているのかを正確に判断できない場合があります。


また、整骨院の保険診療の仕組みも、医師が正しい診断を下すことが前提になっている部分があります。


ですから、ぎっくり腰のような急性の腰痛の場合も、できる限り医師による診断を受けてから整骨院の治療ができるか医師に確認した方がいいでしょう。


 


このときに気をつけなければならないのが重複受診はしご受診です。


重複受診とは、整骨院で保険診療を受けながら、同じケガに対して整形外科でも保険診療を受けることです。


はしご受診とは、保険適用ができるケガの治療だといって、本当は保険が適用できない違う箇所の治療も受けてしまうことです。


どちらも医療費の支出を不正に増やしてしまうことなので、必ず確認したうえで施術を受けるようにしてください。


 


このような不正を防ぐため、整骨院で保険施術を受けた後には「施術内容照会」を行っている健康保険組合もあります。


腰痛になった原因、どのような施術を受けたのかなどはできる限り記録しておきましょう。


また、領収書は必ず受け取って保管しておきましょう。


慢性腰痛も保険で治療できるのは医師だけ

腰痛症に対して病院を受診するという行動は日本ではあまり根付いているとはいえませんが、病院の整形外科では腰のねんざや肉離れの場合だけではなく、慢性腰痛に対しても薬や注射を使った保険診療を行っています。


また、湿布薬や物理療法だけで改善ができない場合には、ペインクリニック(痛みを治療する科)でも麻酔を使ったブロック治療を行うことができます。


さらに、最近ではストレスが腰痛症に与える影響が少なくないことがわかってきていることから、心療内科などでも相談を受け付けているところが多くなっています。


保険で治療を受けられる回数には限度がありますが、こうしたところも選択肢として考えられます。


最善の選択肢は人それぞれ

「健康保険が使える=効き目が高い」というわけでも、「治療費が高い=効き目が高い」というわけでもありません。


その人にとってどんな治療が最も適しているのかは、実際に受けてみるまではわからないという場合が多いのが現実です。


ただ、腰痛症のなかには、神経症状が出るものや、命に関わるような危険な要因によって引き起こされているものがあります。


こうした危険な腰痛を診断して、対処をすることができるのは医師がいる医療機関だけです。


レントゲン写真や、MRI画像などを使った検査は医療行為なので、医師以外に行うことはできません。


そのため、自分でも原因がわからないような腰痛に襲われたら、まずは一度医療機関で原因を探ってみることをオススメします。


自分に合った治療を見つけるのは、それからでも遅くはないはずです。


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