腰が痛い、だるい。危険な腎臓疾患のサインを見逃すな!

筋肉や椎間板など、整形外科的な要因を思い浮かべがちな腰の痛み。

ところが、中には腎臓の疾患が痛みを引き起こしている場合があります。

一度機能が低下すると回復させるのが難しいことが知られている腎臓。

悪化する前に現れるサインを見逃さないための知恵を紹介します。

この記事の執筆協力者
ひまわり堂接骨院 窪田真秀先生

柔道整復師

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腎臓病が引き起こす関連痛。見分ける方法は?

腎臓は他の臓器に比べ背面に近く、左右で対になるように存在するため広い範囲に関連痛が出やすい臓器として知られています。


腎臓に異常がある場合、腰・脇腹・脚の付け根など、腰周辺の広い範囲に鈍い痛みや不快感、痛みを感じます。


腎臓が原因の場合、次のような特徴的な症状が見られます。


 


特徴的な所見



  • 横になって休んでも痛みが変化しない

  • 顔や手足がむくんでいる

  • 常に体が重くだるい

  • 尿の出が悪くなった

  • 軽くジャンプして着した時に腰の奥に痛みを感じる

  • 運動後に痛みが増す


腰痛を引き起こす腎臓病の代表例として水腎症が挙げられます。



腎臓で作られた尿は尿管、膀胱、尿道と続く尿路を通って排せつされますが、尿路が何らかの原因で狭まったり、詰まったりして尿の流れが悪くなり、腎臓内に溜まってしまうことがあります。


腎臓内部の腎盂や腎杯が水分でいっぱいになり、広がってしまうのが水腎症です。


主な原因は尿路結石ですが、なかには腫瘍によって尿路が圧迫されているケースもあるようです。


水腎症は腹部の超音波検査によって診断できます。


 


内臓疾患による腰痛は、全体の1%未満と極めて稀です。


しかし、その1%に危険な疾患が多数含まれ、見逃すと命に係わる場合もあります。


とくに水腎症の場合、放置すると腎臓の組織が損傷を受けて、腎不全に陥ります。


腎不全は一度症状が進行すると回復させるのが難しいのが特徴。


休んでも腰の痛みが変わらない、あるいはどんどん悪化していると感じたら、早めに内科や泌尿器科を受診しましょう。


 


内臓の関連痛


内臓疾患がある場合、その周辺や同系統の神経系に属する離れた部位が痛むことがあります。


例えば、心臓では左胸と左の上腕部、肝臓では右肩に特徴的な痛みが現れることが知られています。


腹膜で囲まれた胃・肝臓・大腸は体の表側(腹側)、腹膜の外にある腎臓・脾臓・十二指腸は体の裏側(腰・背中側)に症状が現れます。


姿勢や動作によって痛みが出たり楽になったりする整形外科的な病気(筋肉・関節)と異なり、内臓の関連痛は必ずしも姿勢と連動しないのが特徴です。


こうした内臓の関連痛は、内臓疾患の有無を鑑別するうえで非常に重要な判断材料になり、医療機関の問診でもよく尋ねられます。


どんなときに痛むのかを把握しておきましょう。


尿路結石症の予防は食事から

水腎症を引き起こす代表的な要因である「尿路結石」


その形成には食習慣が大きくかかわっています。


そのため、尿路結石症は治療後に再発しやすく、その再発率は5年間で50%といわれています。


尿路結石症の予防は、まず食事の見直しから始める必要があります。


具体的な予防法を確認しましょう



水分摂取


結石は主にカルシウムとシュウ酸・尿酸などが結びついて固形物として析出したものです。


夏は尿路結石の患者が増えることが統計的に知られていますが、これは汗によって水分が奪われ、結石を作っている物質の成分濃度が高まってしまうため。


水分を多くとることで、これらの濃度を下げ結石の形成しづらくすることができます。


 


ただし、コーヒーやお茶にはシュウ酸が多く含まれています。


また、糖分濃度が高い飲料を摂取することで、尿中のカルシウム濃度が高まります。


こういった飲料の過剰摂取は控えましょう。


 


塩分の制限


食塩に含まれるナトリウムはカルシウムの排出を促し、尿中のカルシウムの濃度を高めてしまいます。


また、食塩の過剰摂取の症状として知られる高血圧は、腎臓の組織に大きな負荷をかけてしまいます。


食塩の摂取は一日10g以下に制限しましょう。


 


逆に、カルシウムは積極的に摂取しましょう。


実は、カルシウムは体内濃度が低下すると、骨が溶け出し補おうとします。


体内のカルシウム濃度を安定させるために一日あたり600~800mgの摂取が推奨されています。


 


動物性タンパク質・脂質の制限


動物性タンパク質や脂質の摂取は、尿内のシュウ酸や尿酸の濃度を高めます。


野菜中心の食生活に改めましょう。


とくに、カリウムを含んだ野菜や果物を積極的に摂取するようにしましょう。


カリウムは腎臓の酵素に働きかけ、血管を広げる役割を果たすといわれています。


また、食塩に含まれるナトリウムと対になる物質で、摂取することで高血圧の予防につながります。


 


生活習慣の改善


運動の習慣を取り入れましょう。


体を動かすことで結石が大きく成長することを予防できます。


縄跳びや階段の上り下りなどが効果的だとされています。


内臓由来の腰痛はわずか1%。されど1%

腎臓は24時間休むことなく働き続け私たちの健康を保っていいます。


一度機能が低下すると、毒素の排出や水分量・電解質の調整ができずに、命の危機に陥ります。


症状の初期には自覚症状がなく、重症化してから発覚するケースが目立ちます。


そこで重要なのが、上記の生活態度の改善による予防と腰の痛みなど腎臓の不調にいち早く反応する関連痛を正しく鑑別すること。


しっかりとした知識を身に着け、症状が悪化する前に対処できるようになりたいものです。


 


現在、日本人の慢性腎臓病の割合は8人に1人。1300万人にも上るといわれて、年々増加し続けています。


決して他人事ではない疾患なのです。


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